学びが育てる防災力 武蔵野市で講演
2月18日(水)、当会会長が、JR武蔵境駅近くの武蔵野市スイングホールで、武蔵野市民を対象にした防災講演を行いました。武蔵野市は地盤が硬く、川が少なく、道路にも余裕があるため、大田区と比べると災害リスクが低い地域と言われています。関東大震災の際にも大きな被害がなかったほどです。そのため、防災の話には人が集まりにくいのではないかと予想していました。実際には145人が参加しました。
演題は「実践 防災術 災害で生き残る術を学ぼう」。クイズを交えながら、楽しみつつ学べる構成で進めました。
武蔵野市は「生涯学習のまち」と呼ばれていますが、その象徴とも言えるのが、今回講師として招いてくださった「武蔵野老壮連合会」です。
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老壮連合会は、一般的な高齢者の親睦団体とは異なり、「学び」を原点とする組織です。昭和41年に市が開設した「老壮大学」(現在の「いきいきセミナー」)の修了生たちが、同期のつながりを大切にしようと自主的に集まり、それらの同期会が連携して1972年に発足しました。以来54年、学び・交流・社会貢献を柱に活動を続けています。文化活動やサークル活動、会報発行、市との協働など幅広い取り組みを行っていますが、根底にあるのは「自ら学び、仲間と協力して豊かな生活を築く」という自主性です。この精神が、武蔵野市の生涯学習文化を支えてきました。
さらに特筆すべきは、武蔵野市の行政姿勢です。市は老壮連に対し「会場と資金は提供するので、企画と運営は皆さんで」と任せています。行政主導ではなく、市民主体の学びを尊重する姿勢が徹底しているのです。武蔵野市には町内会組織が存在しないという特異な歴史があります。
戦後のGHQによる町内会禁止を経て、昭和28年に再び組織が認められた際も、市民はあえて再結成しませんでした。その結果、住民主体の行政文化が根づき、比較的潤沢な予算と職員数を背景に、市民の自主性を尊重する仕組みが育っていったと言われています。
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講演の冒頭、「いきいきセミナーの卒業生は手を挙げてください」とお願いすると、参加者の半数が手を挙げ、向学心の高さに圧倒されました。
防災意識について尋ねると、水や食料の備蓄はほぼ全員、家具の固定は6割、耐震ブレーカーの設置は3割と、非常に高い水準でした。これほどの防災力を持つ地域は多くありません。
そこで、予定していた内容を少し変更し、被災地で会長が実際に感じた「災害に強い地域の共通点」を中心に話すことにしました。
最も大切なのは、お互いを理解し合い、顔の見える関係をつくることです。
1分間の法則や「自分を助けてくれる友人を3人つくる」ことの重要性を紹介し、後半は被災地で本当に起きた出来事を題材にした○×クイズで楽しんでいただきました。
講演を終えて強く感じたのは、武蔵野市の「学びのコミュニティ」が防災力を底上げしているという事実です。学びを通じてつながりが生まれ、そのつながりが地域の力となり、災害への備えにも自然と反映されているのです。今回の講演は、教える場であると同時に、参加者の姿勢から多くを学ばせていただく時間でもありました。学び続ける地域は、やはり強いと実感しました。
この情報は、「防災まちづくり研究会」により登録されました。